このコラムは ㈱レクシアの季刊誌
"FIRST CLASS" 2010年春号の
「FIRST CLASS COLUM」のために
執筆し、掲載された文章です。
尚、執筆者プロフィール欄も本誌掲載の
文面通りで記載しております。
"FIRST CLASS" 2010年春号の
「FIRST CLASS COLUM」のために
執筆し、掲載された文章です。
尚、執筆者プロフィール欄も本誌掲載の
文面通りで記載しております。
『竹 ~まっすぐに伸びる、日本の美~』 建築や美術工芸などの材料となる竹材を扱う、「銘竹屋(めいちく)」。色・形・
寸法が多様 にある中から、用途に応じた竹材を見極めること、それが、銘竹屋の資質です。 銘竹
には、囲炉裏で200年燻され褐色になった竹や、雲模様のある竹、細かな粒のでている竹など
があります。選品でいちばん難しく思えるのは、色や模様
のない白竹。プレーンなゆえに素材の優劣が素直にでてしまうこの竹は、洗練された空気を、ただ1本で作ってしまう竹でもあります。
実用品の原材料でしかなかった竹ですが、千利休が素朴さの象徴として茶室に使い始めたころから、景色や季節をあらわす素材となりました。 節があって、空洞がある。この、木でも草でもないイネ科の植物は、丁寧に弱火で温められ、油抜き
された後には、繊維の細かさからくる独特の光沢を保ちま
す。強く主張しているわけではないのに、ただそこにあるだけで、『日本』を感じさせる不思議さ。個性を愉しみ、自然の美しさを見出す感性が日本の竹文化な
のだと思います。 世界には、700を超す種類の竹があるといわれていますが、海外から見ても、
やはり日本の竹は特
別なモノ。この銘竹屋を訪れる、ほとんどの欧米人から聞
こえるのは、“COOL!(カッコイイ)”とか、”AMAZING!(素敵)”といった言葉です。竹そのものへの驚きと同時に、素材の美しさを生かそうと
する日本文化の美意識を、竹を通して感じているのかもしれません。 無駄なものを排除したシンプ
ルな姿。世界に誇る日本の感性を磨くこともまた、銘竹屋としての仕事
のように思えます。今号のコラムニスト:利田 淳司プロフィール:1967年 京都市生まれ。
有限会社 竹平商店(1915年創業・京都市下京区)4代目、代表取締役。
NHK海外向け放送『BEGIN JAPANOLOGY』にも出演。“竹”という日本の伝統商材を通して、真の日本の美学を全世界へ発信し続ける。